おはようございます。RIEです。
今日のテーマは、「カジノ法成立・カジノ解禁へ」です。
昨日15日未明、衆院本会議で、カジノ解禁に向けた「統合型リゾート(IR)整備推進法」(カジノ法)が成立しました。自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決しましたが、公明党は自主投票、民進・共産両党などは反対したそうです。
このたび成立したという「統合型リゾート(IR)整備推進法」、通称「カジノ法」。
個人的には、「ここまで話が進んだの?いつの間に?!」というのが、率直な感想です^^;
外国人観光客誘致のためのカジノ解禁については以前から話題に上がっていましたが、具体的な審議に入ったのは比較的最近だったような気が。。
海外に住んでいると、どうしても日本国内の事情に疎くなる部分があります。
日頃から日本国内の情報も追うように努めてはいますが、お笑い芸人の旬なネタをブームが落ち着くころにようやく知ることも(これは日本にいてもそうかも…)。
このカジノ法案についても、大きな流れを見落としていたのかな…と一瞬自分を疑ったのですが、どうやらそうではなさそうです。
12月7日のNHK「時論公論」にて同法案が解説されていますが、その中でも、以下のようにはっきり言われています。
確かに唐突です。この法案。
…やっぱり唐突ですよね!?
各種メディアやネット上においても、十分な審議がなされていない、という批判が目につきます。
日本国内にいる方々の目にも、今回のカジノ法成立に向けた動きはかなり性急だと映っているようですね。
それにしても、なぜ、今、カジノなのでしょう。
カジノ法成立には、どのような背景があるのでしょうか。
この件については、毎日新聞が、12月8日(カジノ法案参院審議入り時)・ 15日(同法成立後)に社説で取り上げています。
しかし、成立後の15日付の社説が政治批判中心だったのに比べると、12月8日付のものの方が、IR構想の背景、カジノの負の側面などについて概要がわかりやすく書かれていました。
少し前の社説ではありますが、英語学習的にはこちらの方が適切かと思い、本日は8日付の社説を読んでいくことにします。
☆今日の社説
・毎日新聞 2016年12月8日社説
「カジノ法案 再考の府も審議放棄か」
・The Mainichi 毎日新聞英文サイト (上記社説の英訳)
"Rush to pass casino resort bill unacceptable"
☆内容ポイント
*12月8日時点の状況です。
・カジノ解禁に向けた「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)が参院で審議入りした。自民党は週内にも成立を図ろうとしている。カジノの合法化に多くの懸念が指摘されているのにもかかわらず、衆院通過の際はまともな審議がされなかった。
・自民党が成立を急ぐ背景には、IRを「(外国人観光客を呼び込む)成長戦略の目玉」にしたいという官邸側の意向があるとみられている。経済界や地方の一部にはIR構想への期待があるが、各国の競争激化などによる経営の失敗や悪化、アジアでの減収傾向など、負の側面も指摘されている。成長戦略が手詰まりだからといって、綿密な分析なしにIR施設を頼みにするのは問題である。
・自民党と日本維新の会がIRを推進する中、慎重だった公明党は自主投票を決め、衆院通過を事実上容認した。その性急さに対し、参院自民党内からも疑問の声があがっている。禍根を残さないためにも、参院は法案を徹底審議し、責任を果たすべきだ。
☆単語メモ
- カジノ法案 - the casino resort bill
- 「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案) - a bill to create "integrated resorts" centered on casinos
- カジノを含むIR構想 - "integrated resorts" including casinos
- カジノの合法化 - legalizing casinos / the casino resort legislation
- 審議入りする - be put to debate
- 参議院 - the House of Councillors / the upper house
- 衆議院 - the House of Representatives / the lower house
- まともな審議もせず - with barely any debate
- 「再考の府」 - a body to reconsider legislation afresh
- 議員立法の法案 - a private member's bill
- 各会派による合意 - the consensus of all the parliamentary groups
- 衆院内閣委員会 - the lower house Cabinet Committee
- ギャンブル依存症 - gambling addiction
- ギャンブル依存症対策 - concrete provisions to deal with gambling addiction
- 実施法案 - an implementation bill
- ~という答弁を繰り返す - simply and repeatedly answer that ...
- シンガポールでカジノを含む施設を視察する - inspecting a casino resort in Singapore
- 成長戦略の目玉 - growth strategy centerpieces
- 外国人観光客を呼び込む - attract foreign tourists
- 経済界 - business circles
- 地方の一部 - a certain segment of regional Japan
- ~への期待がある - have high hopes for
- 大阪府・市 - Osaka -- both the city and the prefecture --
- 大阪湾の人工島 - an artificial island in Osaka Bay
- ~を想定する - envision
- 各国の競争激化 - intense foreign competition
- 経営が悪化する - have worsening business performances
- 綿密な分析 - detailed analysis
- カジノの負の側面 - the potential negative side of casinos
- IR推進論 - campaigns to open integrated resorts
- 日本維新の会 - Nippon Ishin (Japan Innovation Party, JIP)
- 自主投票 - vote independently
- ~の機会を見送る - forgo the chance to
- 実質審議 - substantive debate (on the bill)
- 参院内閣委員会 - the upper house Cabinet Committee
- 委員長を解任する - dismiss the committee chair
- 法案を徹底審議する - discuss the casino resort bill thoroughly
☆今日の使える表現
・これでは暴走に等しい。 - This is what's called running roughshod.
これでは暴走に等しい。
This is what's called running roughshod.
・あしき前例を残してはならない - it would be simply unacceptable to create a precedent of ...ing
「再考の府」である参院までもが審議を省略するあしき前例を残してはならない。
The upper house is supposed to function as a body to reconsider legislation afresh, and it would be simply unacceptable to create a precedent of cutting discussion in that chamber short as well.
・負の側面に目をつむる - shut our eyes to the potential negative side (of ...)
成長戦略が手詰まりだからといって、負の側面に目をつむったままカジノを含む施設を頼みにするようでは問題だ。
It would also be problematic to just shut our eyes to the potential negative side of casinos simply because other parts of the government's growth strategy have ground to a halt.
・足元をみられる - allow oneself to be taken advantage of
(公明党は)これでは足元をみられるばかりではないか。
The party has, in effect, allowed itself to be taken advantage of in the legislative process.
・禍根を残さない - avoid creating a seedbed for future problems
禍根を残さないためにも参院は法案を徹底審議し、責任を果たすべきだ。
To avoid creating a seedbed for future problems, the upper house must discuss the casino resort bill thoroughly and fulfill its responsibilities.
☆12月15日(カジノ法成立後)の社説
ご参考まで、法案成立後の毎日新聞社説へのリンクも載せておきます。
今回読んだ社説と単語などかぶってますので、皆さんの学習にお役立てください^^
☆関連英文記事
関連英文記事もいくつか貼っておきます。
探せばまだまだありそうです。
今回は、毎日新聞の社説をお借りしました。
うーん。やはり、あれよあれよという間に成立した感がありますね。
決まったからには、依存症対策などはしっかりお願いしたいところです。
ちなみに、社説本文中にありました、安倍首相が参考にしたというシンガポールのカジノ。マリーナベイサンズカジノの場合、外国人は入場無料ですが、シンガポール人・永住者は有料です。24時間エントリーパスで100シンガポールドル(約8,200円・12月16日現在)とのこと。けっこう高い!
訪日観光客誘致が目的ということは、日本もその方向でいくのでしょうか?
今後の推移を興味深く見守っていこうと思います。
それにしても、当ブログ、前々回のテーマは「外国人観光客2千万人突破」、
前回は「外国人技能実習制度」、
そして今回は、外国人観光客誘致を念頭においた「カジノ解禁」についてでした。
「官製国際化・三部作」とでも名づけられるかも^^;
国内経済が手詰まりの現在、政府があの手この手で国際化を進めている現状が見えてきます。
この傾向、これからも続いていきそうですね。
今日は以上です。
皆さん、良い一日をお過ごしくださいね。
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