こんにちは。RIEです。
実は私、昨日、シンガポールマラソンに参加してきました。
走りましたよ、10キロ!(フルは無理!)
毎年、このマラソンイベントが開催されると、いよいよ年末に近づいたという感じがします。
常夏の国ながら、クリスマスのデコレーションもあちこちに飾られ、華やいだ雰囲気になってきました。
日本もきっと盛り上がっているのではないでしょうか^^
さて、前回、当ブログでは、訪日外国人観光客の急増についての社説を読みました。
日本にもっと外国人観光客を呼び込もう!という明るい話題でしたね。
今回の記事も、日本への外国人受け入れについてですが、少し趣が違います。
「観光客(=お客様)」ではなく、「仕事をするために来日する人々」のお話です。
今日のテーマは、「外国人技能実習制度 ~国際貢献か、労働力の確保か?~」です。
先月11月28日,外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が公布されました。
あわせて、「改正出入国管理及び難民認定法(入管法)」も改正され、外国人介護福祉士の受け入れも解禁されることになったようです。
「外国人技能実習制度」では、従来は農業や製造業、建設業を対象としてきましたが、今後は新たに介護分野も認めることになったそうです。
少子高齢化に伴う介護人材の不足を、外国人への門戸開放で補完しようという狙いがありありと見えますね^^;
しかし、そもそも、「外国人技能実習制度」とは、人材育成を通じて日本の技術を海外に伝えるという国際貢献が本来の目的です。
以下、同実習制度を統括・総合支援する「公益財団法人 国際研修協力機構」のウェブサイトから引用します。
開発途上国等には、経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技能・技術・知識(以下「技能等」という。)を修得させようとするニーズがあります。我が国では、このニーズに応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間産業界に受け入れて、産業上の技能等を修得してもらう「外国人技能実習制度」という仕組みがあります。
この制度は、技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、我が国の国際協力・国際貢献の重要な一翼を担っています。
しかし、導入から20年以上たち、受け入れの規模も大きくなるにつれ、賃金不払いや長時間労働といった受け入れ先による違法行為が頻繁に指摘されるようになりました。
人材養成を通じた国際貢献よりも、安価な労働力として外国人を利用しているのでは、との批判が高まっています。 (以下はその一例です。)
契約期間終了前に失踪する実習生の数も増加中とのことで、政府としてもなんらかの手を打たねばならない状況になっているようです。
今回の立法は、そういった流れを反映して行われました。
長くなりましたが、ではでは、社説で具体的な内容を見ていきましょう。
今日は、毎日新聞の社説をお借りしました。
☆今日の社説
・毎日新聞 2016年11月28日社説
「外国人実習制度 不正への対応は厳格に」
・The Mainichi 毎日新聞英文サイト (上記社説の英訳)
”Prevent abuses of foreign trainee program”
☆内容ポイント
・新興国や途上国の労働者が日本で技術を学ぶ「外国人技能実習制度」の適正化法が今国会で成立した。当制度は、人材育成を通じて日本の技術を海外に伝えるという国際貢献が本来の目的であり、現在は中国やベトナムなどから21万人以上受け入れている。
・しかし、賃金不払いや長時間労働といった受け入れ先による違法行為が後を絶たない。能力の養成よりも、低賃金の単純労働者として外国人を働かせるための制度になっているとの批判が強い。
・今回の法律は、法務省および厚生労働省所管の認可法人「外国人技能実習機構」を創設し、労働法規違反や人権侵害行為に関して、実習先への監視を強めるのが目的である。実習生が健全な環境で技術を習得できるよう、政府は新制度を厳格に運用すべきだ。また、実習生の出身国にある送り出し機関側の問題にも対策をとる必要がある。
・今回の立法で、優良な実習先の受け入れ期間が現行の3年から最長5年に延びる。しかし、国内の労働人口減少の穴埋めに実習制度を使うことはそもそも筋違いである。将来を見据えた議論を始めたい。
☆単語メモ
- 「外国人技能実習制度」 - the Technical Intern Training Program for foreign trainees / the foreign trainee program
- 外国人実習生 - foreign trainees / foreign interns
- 日本の技術 - Japanese technical knowhow
- 受け入れ先 - work placements / intern work placements / host firms / host companies and businesses
- 賃金の不払い - failure to pay wages
- 長時間労働 - forcing ~ to work extremely long hours
- 違法行為 - illegal practices
- 単純労働 - menial jobs
- 能力の養成 - cultivating one's skills
- 人権を侵害する - violate one's human rights
- 健全な環境で - in a healthy environment
- 新制度を厳格に運用する - enforce the new system extremely strictly
- 入国管理局 - Immigration Bureau of Japan
- 273機関 - 273 host companies and businesses
- 繊維・衣服関係 - the textile and garment sector
- 農漁業関係 - farming- and fishing-related industries
- 実習生を受け入れる - take on a foreign intern
- 事業協同組合 - a local industry association
- 商工会 - a chamber of commerce
- 優良な実習先 - the better class of host firm
- 今後も変わらない - remain in place
- 送り出し機関 - the trainee dispatch organizations / the organizations doing the recruiting
- 法外な保証金 - an illegal "deposit"
- 劣悪な条件 - bad working conditions
- 8万人以上の実習生 - 80,000-plus interns
- 付帯決議 - a supplementary resolution
- 「早急に交渉を進めるべきだろう」 - "This process must be tackled quickly."
- (国内の)労働人口 - the domestic labor pool
- 産業構造 - the makeup of Japanese industry
- 外国人の単純労働者 - unskilled foreign labor
- ~を受け入れる - bring in ...
- 穴埋めする - fill gaps
☆今日の使える表現
・~が本来の目的だ - The original aim of ... is to ...
この制度は、人材育成を通じて日本の技術を海外に伝えるという国際貢献が本来の目的だ。
The original aim of this 20-year-old system was to contribute to international development by sending these trainees home equipped with Japanese technical knowhow, ...
・~との批判が強い - This has earned strident criticism that ...
能力の養成よりも、単純労働の現場で、低賃金で外国人を働かせるための制度になっているとの批判が強い。
This has earned strident criticism that the program is merely a way to exploit foreign workers, compelling them to do menial jobs for low pay instead of cultivating their skills.
・~と取り決めを結ぶ - conclude relevant agreements with ...
国会は付帯決議で、政府が送り出し国と取り決めを結ぶことで、この問題の解決を図るよう求めた。
In a supplementary resolution, the Diet called for solving problems with the dispatch organizations by concluding relevant agreements with countries sending trainees on to Japan.
・そもそも筋違いだ - be simply wrong
実習制度でそうした人材を穴埋めすることは、そもそも筋違いだ。
However, using the foreign technical trainee program to fill gaps in the unskilled labor market is simply wrong.
☆関連英文記事
今回の社説テーマに関連した英文記事をいくつかご紹介します。
・The Asahi Shimbun (朝日新聞英語版ウェブサイト)
今回の法改正について。表がわかりやすいです。
・The Japan Times
香川県にある実習生受け入れ監理団体が、「国別の介護技能実習生のポテンシャル」と題して、東南アジア六カ国の実習生の学習能力や親日度などを国ごとに評価し、介護への適性を採点した表を公開していたそうです。「差別的」として批判をあびています。
・Nikkei Asian Review
実習生の勤務環境について、厚生労働省が行った調査に関する記事です。日本の労働基準法を満たしていないケースが多いと判明したとのこと。
以上、今日は「外国人技能実習制度」についてでした。
うーん、国際貢献を本来の目的としつつも、実際には労働力確保の手段となっている部分が大きいのかもしれません。
(もちろん、そうでないケースもあるでしょうし、部外者なので一概には言えませんが!)
オリンピック開催や訪日観光客2千万人突破といった、日本の「国際化」をめぐる華やかなニュースの陰で、使い捨ての労働力のような扱いをされている外国人が少なくないという事実。それはもっと広く知られてもいいのでは、、と思いました。
今回の法改正が、その一つのきっかけになればいいですね。
今日は以上です。
皆さん、良い一日をお過ごしくださいね。
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